なーにーかにー、あぶーられて〜 あーなーたに食べられて〜 センチメンタル ジャーァーキー
そんな干し肉テイストな程にやせ細った16歳の牛(人間で言うと50代)にまたがりマカロニウエスタンよろしくバンジョーかき鳴らしサボテンキャンパスを闊歩する我が町の保安官、誰かを早撃ちさせれば町内会イチの板前を屠るという裏の顔まで持ってて両面使えてお得な感じのジキルとハイド。二人はプリキュア。実はトレンチコートマフィア。『ベローネ学院に血の雨を降らせるんだ!!』。逃げまどう生徒、賞賛の悲鳴と無力な怒号。バックファイアと硝煙の匂い、飛び散る薬莢が石の床を叩く。惨劇にゃオペラがよく似合う。やたら恰幅のいい、牛の様な女、女のような牛か?どっちでもいいけど歌う。ラーラーラララァァァ〜。ていうかあんた誰だ?。響く銃声と、刹那の静寂。スローモーションで倒れる女。っていうか牛。フェードアウト。走馬燈。アタイだって若い頃はちょっとしたものだったのヨ。それが悪いオトコにつかまって、騙されて、捨てられて。ボロぞうきんみたいになっちまった。っていうかあんた牛だろ?。それでもアタシには歌があった。歌ってれば幸せだったのヨ。生活のため、子供のため、メップルとミップルの為に歌ったの。今では二人とも大きくなって、遠い町へ嫁いで行ったわ。もう、アタシにゃ歌しか残って無いの。笑っちゃうわよね、がむしゃらに生きて、生きて。人を好きになって、大人になって。結局、歌しか残らなかったの。そう言うと彼女は血まみれのハンカチで涙を拭いた。ソーリー、マダム。馬鹿にして悪かった。最後に一曲歌ってくれないか?。彼女は快く引き受けると、巨体を揺らし立ち上がり、低いコントアルトを教室に響かせた。
センチメンタル ジャーァーキー
(銃声)
(牛、逃亡) | |