まあ、僕も一応サラリーマンなんで、朝ともなれば通勤列車に乗って職場に向かいます。つっても、満員電車が嫌いなんでちょっと迂回路使って座っていくんですけど。・・・で、いつもどおりドッカ座って始発to終点決めこむ段になって、隣の女性が気になった。
その女性は、おそらく僕よりやや年上。仕事の出来そうな上品なスーツを着て産経新聞を読んでいた。蛍光ペン片手に持ちながら。ああ、後で大切な所をチェックするんだろうなぁ、流石だなあぐらいに思って僕は読みさしの宮沢章夫を読む事に。ところが、2駅ほど進んだところで、なんか目の端がチラチラする。目は自分の文庫本の文字を追っているんだけど、なんか隣で赤いものはチラチラするのだ。ちょっときになるなー、って思って隣の新聞を見たら、彼女が今読んでいるページの文字が8割ぐらい赤くなっていた。ええええええ、それマーキングする意味あるのか?流石におかしいだろうと思って見てみると、どうも、文章の区切りに入れる「しかし」とか「誰某がこのように述べた」以外の言葉は全てマーキングされている様子。そんなに大切だったら記事の枠ひっくるめてマーキングすればいいのに。更に驚くことに、僕から見えなかった裏面は6割ぐらいの記事がその調子でマーキングされていた。スゲェ。この人にとっては、この新聞に書かれいる事は気になって仕方ない事ばかりなんだろう。毎日が刺激的なイベントで溢れてるんだろう。それは羨ましい。羨ましいがその新聞は如何なものか。そんなにマーキングだらけになった新聞、読み返すんだろうか。「ああ、そうそう、これは大切だ」とか思っちゃったりするんだろうか。それとも部下に「この記事、大切だから読んでおいて」とか言って、かっこよく部下の机にこの新聞を置いたりするんだろうか。ほぼ真っ赤になった新聞を。そんな事言われたって部下は困るだろう。僕は困る。それは「全部大切だ」って言ってる事とほぼ同義だからだ。いっそ最初から赤い紙に印刷された新聞を渡された方がすがすがしい。むしろ色が塗られていない「大切じゃない部分」が気になって仕方がないじゃないか。何が大切じゃないんだ。何か彼女にとってどうでもいいことなんだ。僕はもう気が気じゃないまま隣の女性の新聞の「赤くなっていない記事」を探した。そこには昨日野球で優勝した日本ハムの記事が写真入りで載っていた。どうやら彼女は西武ファンらしい。僕は心の中で、今決めた勝手な解釈にマーキングをした。 ツイート Recent Entries from Same Category
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