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『行きずりの街/志水 辰夫』読了。失踪した教え子を捜す元教師が、教え子を追うちに、自分が追放された名門校のスキャンダルを知り、さらに自らの過去をも巻き込んで行くっていう、ハードボイルド小説?1991年『このミステリーがすごい!』第1位。

 えーと、先ず、前半がだーるいです。主人公、波多野の優柔不断さというか弱さというか、そればっかり鼻にき、そのくせ女性の味方が妙に多くてゲンナリします。つっても、90年代前半のハードボイルドなんだから、「ああそれが主流だったんだな」で納得できるレベルですけど。登場人物もなんだかアレで「こいつ弱い子」「この子よい子」「この子悪い子」「これはダメな子」以上の性格がイマイチ伝わらない。あーどうしようかなこれ。ぐらいには思える。のは前半まで。学校のスキャンダルが見え隠れしだす中後半あたりから悪役がかなり生き生きと書かれていていいです。こういう『悪い奴だけど、どこか人間くさい』っていう人の書き方は好きだなあ。しかもそれを全く理解しようとしないというか「解ってやる訳にはいかない」という主人公の態度が中々面白いです。後半から大活躍の中込がいい味出してます。悪役ですけど。

 ハードボイルドなんで、理詰めのトリックと言うよりは、何気ない伏線から謎を解く、ちょっとした事から窮地に陥る、または脱する。っていうスリルを楽しむって感じですが。その辺は面白いですね。まあ展開はちょっと都合良すぎかもしれませんけど、その辺も「90年代的」と言えましょう。その辺まで折り込んで読める方にお勧め。




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