日本語が、大好きです。(Sorry, Japanese Only.)
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 「アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太朗」読了。引っ越しをして最初に出会った隣人が、「本屋を襲撃しよう」と持ちかけてくる。目的は一冊の広辞苑。そんな不条理な椎名の『現在』と、ペット殺しの犯人を見つけてしまった琴美の『2年前』が交錯するミステリ。「このミス」2005年第2位(国内)

 先ず言うと「こりゃ、ミステリーとしてはどうなんだ?」って所。先ず、誰か犯人が居るわけでは無いし、ものすごいトリックが在るわけでもない。あるのは「現在」と「過去」の不思議なリンクと齟齬。他の書評にもあるけど「このミス」の上位にあるっていうのはちょっと首を捻る。まあ、でも『終戦のローレライ』も2位になるランキングだからなあ。「それって、『ミステリー』じゃなくてもすごいんじゃないの?」ってランキングの様な気がする。

 もちろん、じゃあつまらなかったかっつーと、そうではなく。過去と未来の齟齬の理由、椎名が河崎に本屋襲撃を手伝わされる理由、なにより各キャラクタの考え方やセリフ回しなど、面白い所がいっぱいあります。特に、河崎のキャラクタは不器用で面白い。良い。良い。


 以下ネタバレ















 ただ、最後まで読むと、すごく切ない。河崎も、琴美も、そしてドルジも『生まれ変わるって、本当だろうな?』と苦笑いしながら死んでいく。この、「因果応報、今は何もなくても、来世で必ず報われる」っていうブータンの考え方は物語の根っこにあたる部分で、それが悲劇を多少なりとも軽くはしてくれるのだけれど。久しぶりに悲しい気持ちになった。


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