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 『クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い/西尾維新』読了。財閥令嬢が気ままに天才を集めてサロンを開いている「烏の濡れ羽島」で起こる首切り事件に、玖渚友と「いーちゃん」が挑む。どうやら「新青春エンタの傑作」らしい(アマゾンしらべ)。

 そりゃあもう以前から話題にはなっていて超今更なんだけど、先日文庫になって更にそれが古本屋に流れていたので買って読んだ。なんでここまでにならないと読まないかってやっぱ表紙が。。。。偏見だ。偏見だけどね。

 で、内容・・・が、これが難しい。いや面白かったのよ。面白くなかったら感想も書かずに捨てるし。トリックはなかなか、、うーん、いやちょっと正直すぎるかな。かえって好感が持てるぐらい。しかしその後の展開が燃えた。うん。

 セリフもかなりいい。主人公の「いーちゃん」が言う戯れ言はも玖渚友の極論もどちらも共感できるし、楽しい。これ20歳前後で読んだら絶対ハマってたなー。っていう感覚がすごいある。ただ、やっぱり設定があまりにアレで取っつきにくい。

 フィクション、特にSFなんかではそうなんだけど、リアリティを出す為に一つ「大きな嘘」を「大前提」として作ってしまう。これによってその他の小さな嘘はこの「大前提」の後ろに堂々と付けられる。近年読む方に知識がついちゃって、この「リアリティを出すための嘘」が難しくなってきてはいるんだろうけどね。

 どうもこの『クビキリサイクル』、リアリティを削いでしまう「小さな嘘」が多い気がする。代表的な所だと「玖渚友」のキャラクタ。「超天才」っていう大嘘はいいとして、果たしてその天才が「時計のデジタル表示を鏡文字する」事は可能なのか。その前に「青い髪」っていうのはどうなのか。とか。そういう所。ちょっとすっ飛んだ性格ってのはこれはこれでありかなーとは思った。

 たぶん、世間の『小説に求めるリアリティ』の定義が広がっているんだろう、僕がそれについて行けていないだけなんだろうとは思う。

 誤解無い様に注釈するけど、批判では無い。内容は十分に面白い。森博詞読める人ならそれほど苦無く読めると思う。僕も続きが気になってるしね!





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